税務調査コラム

国税OBは税務調査に強いのか?国税OBは凄いのか?どう付き合えば良いか? No.1

2019.08.21

「国税OB」とは?

「国税OB」に資格や基準はありません。
国税関係の部署に勤めた経験があり退職すれば、みんな「国税OB」となります。
一般の方は、「国税OB」というと、税務署や国税局で調査や査察を行っていた経験のある人だと思うのかもしれませんが、実際は違うのです。

税務調査を行う部署は、税務署及び国税局の課税担当(個人、資産、法人、酒税、間接諸税、資料情報、資料調査などの担当部署)で、査察を行う部署は、国税局の査察部門ですが、それ以外の部署の経験しかなくても「国税OB」となります。
例えば、税務署や国税局の総務、会計、広報、厚生の担当や窓口事務や債権管理や滞納の担当など、税務調査や査察の担当以外の経験しかなくても「国税OB」となるのです。
更に、国税の組織は、国税庁(1)、国税局(11+沖縄国税事務所)、税務署(524署)のほか、国税不服審判所(本部と12支部など)、税務大学校(本校と12地方研修所)があります。

国税庁の組織

※各部署の人数は平成30年度の定員を示しています。
国税庁の組織

国税庁の定員:55,724人(本庁・国税局・税務署・税務大学校・国税不服審判所)

※ 国税庁の定員55,724人には、障害者雇用の推進のための定員50人が含まれている。
国税庁(本庁) 984人
税務大学校(本校と全国12の地方研修所)324人
国税不服審判所(本部と全国12の支部等)471人
国税局(地方支分部局12ヶ所)11,851人
札幌国税局 仙台国税局 関東信越国税局 東京国税局 金沢国税局 名古屋国税局 
大阪国税局 広島国税局 高松国税局 福岡国税局 熊本国税局 沖縄国税事務所

税務署(524署)42,044人

  税務署内の組織 ※ 税務署の規模によって、置かれている部門の種類や数が異なります。
総務課 (署内調整、総務、人事、会計、厚生、苦情対応)
税務広報広聴官 (広報・広聴)
管理運営部門 (納税者窓口、申告書等処理、納税者管理、国税の債権管理)
徴収部門 (滞納整理)
個人課税部門 (申告所得税、消費税、資料情報)
資産課税部門 (相続税、贈与税、譲渡所得、路線価図の作成)
法人課税部門 (法人税、消費税、源泉所得税、間接緒税)
酒類指導官 (酒税、酒の免許)



つまり、国税庁関係のどの部署であっても良いので1日でも勤務し退職すれば、「国税OB」になるのです。
ですから、単に「国税OB」ということに、特別な価値・意味は全くないのです。

「国税OB」は 税務調査に強い のか?
よく尋ねられますが、「国税OB」だからといって特殊な能力がある訳ではないのです。
当たり前のことですが、「個々の能力による」というのが事実です。

「国税OB」、「元国税庁職員」、「元国税調査官」、「元査察官」、「○○件を調査」等々
様々な自己PRがあります。

私が現職時代にも、様々な国税経歴を披露する方と対してきましたが、結論から申し上げると、職歴などは、調査に関する能力を推し量る上では、殆どあてにならない というのが正直な感想です。
結局は、何が得意でどのような実績を残してきたか、どれだけの能力があるか次第ですね。

国税OBだからと言って、「税務調査に強い」とは限らないのです。
国税OBである私が敢えて言うのですから、ご理解いただけると思います。