税務調査コラム

税務調査事例 売上除外は⁈ 書類の保存がない!! 今後、再調査は? 大丈夫です!

※2019年10月配信当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

今回は、ある税理士先生から緊急の依頼で調査を支援した事例を紹介いたします。
少しボリュームがあるので何回かに分けて掲載します。

なお、当サイトの意見にわたる部分は、私見であることをあらかじめお断りしておきます。

1 調査を受けた方 A氏​
・ 個人  所得税:白色申告、消費税:本則​
・ 税理士関与の有無:5年前まで税理士なし(偽税理士へ依頼)

5年前、税務署から消費税申告などについて連絡があり、​その処理を税理士に依頼。
翌年から年1関与(本人作成の集計表等から収支内訳書・申告書を作成・提出) ​

2 調査の状況​

税目: 所得税・消費税
時期: 税務署の人事異動直後​
担当: 個人課税 特別調査担当

☆ 私の関与経緯:

関与税理士から、調査初日、午前中の調査が終わって緊急の連絡が入り、
税理士事務所に伺い、関与
税理士の先生とA氏とその奥様​(事業専従者)に面接しました。​

3 私が把握した事実

① 日々記載しているのは経費に関するメモだけ​

② 毎月、集計表を作成(収支内訳書は、申告時に当該集計表から税理士等が作成)​

③ 売上は、ほぼ100%本人預金(5年前1口座、5年前から2口座)へ振込​

④ 集計表の売上金額は、以前申告を依頼していた偽税理士の指導で、​適当に過少な数字を記載​

⑤ 直近4年分の申告時、税理士には当該集計表と領収証だけを提示​

⑥ 当該集計表、売上が振り込まれた預金通帳(2つ)、売上の請求書控えなどは全て保存しており、
  それらを調査初日に納税者自ら提示​

⑦ 申告漏れとなった所得金額は当該預金通帳の残高として留保​

⑧ 外注費は、業者が請求書・領収書を発行しない又は領収書等に正確な連絡先を記載しない
(外注先は自身の取引が特定される​書類を作成する位なら「取引しない」と言う)場合が多い​

⑨ 自動販売機で購入し外注先などに配った飲料水の費用、また冠婚葬祭の費用など領収書が
ないものは経費未計上​

⑩ 5年前に税務署から是正指導あり

 

4 事案の状況

年分 X-6 X-5 X-4 X-3 X-2 X-1 X
所得税 白色申告 期限内 期限内 期限内 期限内
修正申告
期限内 期限内 期限内 期限内
消費税 免税 免税
事業者
期限内
本則
期限後
本則
期限内
本則
期限内
本則
期限内
本則
期限内
本則
翌年3月確定申告時の税理士関与状況 偽税理士 偽税理士
偽税理士
偽税理士 年1回 年1回 年1回 年1回
当初2,300 この処理から現在の税理士が関与
① 申告売上(万円) 1,200
1,400
2,500 2,000 1,300 2,000 2,000
 実際の売上振込の状況
② 本人名義口座 1 1,700 1,800 2,500 2,100 1,400 2,300 2,200
③ 本人名義口座 2 0 0 0 500 400 800 200
④ 合   計(②+③) 1,700 1,800 2,500 2,600 1,800 3,100 2,400
⑤ 申告との差額(④-①) 500 400 0 600 500 1,100 400

 

5 調査官の指摘(主張)事項

⑴ 売上の殆どは、本人名義の2つの銀行口座に振込まれており、​通帳を確認すれば、
正確な売上金額を容易に
把握できた筈である。​

にもかかわらず、毎月集計表を作成する際に、
① 7年間、従来からの決裁​口座への入金については、無作為に過少な金額を記載し、
② 4年前からは、別の口座​へも入金させて、その全てを集計表に記載していない

 ことにより​売上を除外している。​

⑵ 現金売上は、取引数は少なく単価も少額であるが、一切集計表に​記載しておらず
除外している。​

⑶ 外注費については、領収書に住所や電話番号が記載されていない​ものが多数あり、
支払った相手を
確認できないため否認。​

⑷ 請求書に記載不備等が多数あり、消費税の仕入税額控除は否認。​

⑸ 以上から

⑴、⑵については、意図して脱漏・除外したと認められる​ため
7年遡及し
 重加算税対象、
⑶、⑷は、過少申告加算税対象となる。

皆さん、​
 どう対応しますか?​
 どう対応すべきだと思われますか? ​
 どういう結果になると思いますか?​

 

 

∞  ∞  ∞  ∞  ∞  ∞  ∞  ∞

 

結論を先に言いますと…

追徴税額(国税・地方税の本税+附帯税)は、
​当初調査担当者が示した金額の40%弱となりました。 ​

今回はここまでです。

調査の結果などについては、次回記載します。

※ 当コラムなどの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。

 

◇ 当事務所の取組方針

一般の方だけでなく、税理士など資格のあるプロの先生方が 

税務に限らず

「この場合、どう対応したらベストなの?」 

「これって、本当にこの判断でいいの?」

「今更、誰にも聞けない…これってどうしたらいいの?」 

などと迷う時に 

① 事実・実情・証拠などを確認し、最適な助言を、早期に、確実に行います。

② ご要望に応じ、最適の対応を行うための具体的な支援(資料作成、面接‣
出張、複数関与、複数受任・共同受任・復代理など)を行います。

 スポットで支援することが業務です。

「顧問先を奪われるのでは?」という心配は不要です!

2019/10/30