税務調査コラム

申告に漏れや誤りがあった場合、申告をしていない(無申告)ことが分かった場合の対応 No1

2019.07.17

この内容は国税庁ホームページ(タックスアンサー → 確定申告を間違えたときNo.2026)を加工しています。

1 納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合

更正の請求という手続ができる場合があります。
1日でも早く税金を返してもらった方がお得です。
条件に該当するか、必要な書類は何かなどを専門家に相談して手続きを行って下さい。

必ずできるものではなく、「できる場合がある」という点にご留意ください。

できる場合とは・・・ 要件

国税通則法第23条第1項

  • 申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
  • 前号の理由により、申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
  • 第一号の理由により、申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
ポイント

まず「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあつたこと」が必要です。
このため、課税標準等若しくは税額等に誤りがなかった場合、更正の請求は認められません。
例えば、所得税の申告で雑所得とすべきものを事業所得と記載していたとの理由の更正の請求は、認められないのです。

次に、「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」が必要となります。
例えば、納税者が適用するかどうかを選択することとなっている特例を適用せずに申告した場合、特例の適用を忘れていたという理由での更正の請求は認められません。
  

手続・流れ

更正の請求は、更正の請求書を税務署長に提出することにより行います。
更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして(この検討は、税務署部内でのみ行われた場合、法的には「実地調査以外の調査」となります。)、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知されます。)をして税金を還付することになります。

(注)

更正の請求を行った納税者がそもそも実地調査の対象となっていた場合や更正の請求の内容が書類等では確認できない場合など、税務署が「実地調査が必要」と判断した場合は、実地調査が行われる場合があります。
このため、更正の請求を提出する際の対応は、非常に重要となります。
誤っている部分だけでなく、申告内容全体をどう見直し、どのような書類を作成し、提出する際に、国税当局の誰にどのように提出するかなど高度な専門知識が必要となる案件もありますので、専門家にご相談することをお勧めします。

期限など

更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内(国税通則法第23条第1項第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、10年)です。

原則以外のケースとは・・・

国税通則法第23条2項

  • その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき 
    その確定した日の翌日から起算して二月以内
  • その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 
    当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
  • その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 
    当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内

更正の請求書は税務署にあります。
また、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」の「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、更正の請求書が作成できます。作成したデータは、電子申告(e‐Tax)や印刷して税務署に郵送等で提出することができます。

〇 提出した確定申告書の間違いを法定申告期限の前に発見した場合

提出した申告書の間違いを法定申告期限になる前に発見した場合は、法定申告期限までに正しい申告書を提出すればよいこととなっています。
参考に掲げているのは所得税に関するタックスアンサーですが、その他の申告納税方式の国税については、同様の取扱いを行っています。

【参考】 No.2026確定申告を間違えたとき

国税庁ホームページ
ホーム → 税の情報・手続・用紙 → 税について調べる → タックスアンサー(よくある税の質問) → 所得税 → No.2026確定申告を間違えたとき


法定申告期限内に同じ人から確定申告書が2以上提出された場合には、法定申告期限内にその人からの特段の申出がない限り、その2以上の申告書のうち最後に提出された申告書を、その人の申告書として取り扱うことになっています。
したがって、法定申告期限までなら、正しい計算に基づいて作成した新たな確定申告書を、提出することができます。 
先に提出された申告書が還付申告書で、かつ、その還付金について既に還付の処理が行われている場合には、この取扱いができないことがあります。詳しくは、直接税務署にご相談ください。