税務調査コラム
税務調査事例 売上除外は⁈ 書類の保存がない!! 今後、再調査は? 大丈夫です! №3
2019.11.29
※2019年11月配信当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
前回のコラムの続きです。今回は、この調査事案を通じて私が感じた今後の参考事項について説明します。
なお、当サイトの意見にわたる部分は、私見であることをあらかじめお断りしておきます。
調査後の感想
今回の事案は、
1 集計表に過少に記載又は記載していないことは重加算税の対象となるか
2 請求書等がない、領収書等への受取人等の記載内容が不十分な場合、必要経費及び消費税仕入税額控除対象と認められるか
3 費用を中心に、資料の保存・内容が乏しいものが多数あり、取引の実態・事実の証明が困難なものが多いため、今回の調査終了後においても再調査の危険性が高いためそれをどう軽減するか
を主なポイントとして対応しました。
今回の調査担当者は、
当方からの質問・主張等の中身・意図、正当性を直ぐに理解し、
適正な解決策に応じたので、比較的早期に双方が納得のいく終結
となりました!
◆ 当コラムで記載することはできませんが、調査で検討事項が提示された後における対応では、事実や法令適用の主張以外にも交渉テクニックはあります。
円滑な処理に向けて、双方が納得のいく形に持っていく、そのために交渉で突く項目は、調査担当者の事情や調査事案の状況などに応じてそれぞれです。
勿論、事案等に応じた交渉方法・テクニックは当然あります。
それが必要であり、有効なのです。
e.g. 弱点、バーター、信頼関係、落としどころ など
税務調査へ対応される方へ
お伝えしたいこと
実際の税務調査では、調査担当者が明確な根拠を示さずに
「○○は重加算税対象です」と指摘するケースがあると思います。
特に調査の初期段階において、そのような指摘を受けることが多いのではないでしょうか?
その場合には、法令等を十分に理解し、事実を的確に把握した上で、適切に質問・主張していただきたいと思います。
また、調査対応においては、調査担当者の指摘にだけ対応しているということも多いでしょう。
これは調査担当者の出方を見てから対応することですから、最小限の労力で防御と反撃を行うことであり、ある意味では有効な手法と考えられます。
ただ、この場合、調査担当者主導となり、対応が後手に回り、事前に最良の手を打っておけば防げたにも拘らず取り返しのつかない不利な状況・結果となる危険も内包しています。
特に調査を受けている方が十分な資料を保存していない場合や事実を正確に把握できない場合などは、事前に税理士が問題となりそうな事項を全て抽出し、検討・確認することが非常に重要です。
① 調査担当者には、五月雨式に問題点などを指摘するのではなく、問題点・検討事項については、早めにまとめて指摘するよう依頼する(=調査担当者の腹積もり、全ての手の内を早く把握する)。
② 調査担当者から問題点等の指摘を受けた場合には、それに的確に対応(説明・反論・抗弁等)を行うとともに、計上漏れとなっている保存資料の乏しい費用など納税者側が有利となる要素について追加認容を積極的に求める。
③ 調査担当者の全ての主張と当方の全ての主張を同じテーブルに乗せて、ぶつけ合い、調整しつつ決着を図る。
手間がかかって大変と思うかもしれませんが、税務調査ではこのように全方位的に対応することが、結果的に一番効果的・効率的です。
とは言っても、実際にこのような対応を行うのは、非常にハードルが高いのかもしれません。
確かに、このような対応を的確に、効率的に行うには、勿論、相当な知識とスキルが必要です。
実際に調査を受けておられる方にとっては、次々と問題点を指摘されるより、まとめて指摘を受けて対応する方が、精神的、時間的な負担を軽減できます。
税理士も、調査担当者の手の内を全て見た上で対応する方が対応しやすいものです。
また、資料などが無くても、納税者に有利な事実については、積極的に主張すべきです。
更に、全ての問題点を指摘された上で対応することで事後における再調査の危険性を大きく低減できます。
このような観点から、私は、常にこのような対応を積極的に実施しています。
まずは、少しずつでもこのような対応方法にトライしていただければ、スキルは確実に上がります!
対応策がわからない場合は、
お気軽に当事務所へご相談ください。
3回にわたって掲載しました今回の調査事例については以上で終わります。 参考になれば幸いです。
※このコラムの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。
◇ 当事務所の取組方針 |
一般の方だけでなく、税理士など資格のあるプロの先生方が
税務に限らず
「この場合、どう対応したらベストなの?」
「これって、本当にこの判断でいいの?」
「今更、誰にも聞けない…これってどうしたらいいの?」
などと迷う時に
① 事実・実情・証拠などを確認し、最適な助言を、早期に、
確実に行います。
② ご要望に応じ、最適の対応を行うための具体的な支援
(資料作成、面接‣出張、複数関与、複数受任・共同受任・復代理など)を行います。
☆ スポットで支援することが業務です。
「顧問先を奪われるのでは?」という心配は不要です!